何も聴かず 何も見ず 何も言わず 何も考えず
誰も来させず 誰とも逢わず 誰も知らず 誰も受け入れず
時も流れず 食も摂らず 体躯も動かず 起きる事もせず
透明な大気が指先をすり抜け 濁った輪郭が僕に君を知らす
それでも
壁は壊れず 君にも壊せず
刺激そのままに水晶体の奥から君を眺める
不朽の思惑 不可能の極み 不治の病が世界を侵す
眩い光が脳裏を貫き
研ぎ澄まされた神経が僕に世界を知らす
それでも
山は崩れず 皆には昇れず
感じたままに空の頂から世界を嘲笑う
不屈の精神 不可能も可能
不知を知るが故の僕の特権
何も聴かず 何も見ず 何も言わず 何も考えず
誰も来させず 誰とも逢わず 誰も知らず 誰も受け入れず
時も流れず 食も摂らず 体躯も動かず 起きる事もせず
不完全な世の中 神の不在
響く不協和音 不釣合な世界
限り無く不和に近く だが決して不断ではなく
不貞に溺れた不実の魂
不適合な皆々様には
不敵な笑みを差し上げましょう
限り無く闇に近く だが決して不可視ではなく
不死は無くとも不死身の魂
不快さを増すこの世の中には
不滅の光を
降らせましょう……
-不-